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【2026年版年金の税金・手取り額早見表】公的年金控除の仕組みや非課税ラインをわかりやすく解説

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【2026年版年金の税金・手取り額早見表】公的年金控除の仕組みや非課税ラインをわかりやすく解説

【2026年版年金の税金・手取り額早見表】公的年金控除の仕組みや非課税ラインをわかりやすく解説

難易度:

執筆者:

公開:

2025.01.07

更新:

2026.06.12

基礎知識iDeCo個人年金公的年金企業型DC

この記事では、公的年金・私的年金にかかる所得税・住民税の仕組みを、2026年(令和8年分)の最新基準で整理します。

令和7年度税制改正で基礎控除が引き上げられ、所得税が源泉徴収されない年金額は65歳未満155万円・65歳以上205万円に拡大しました。一方で、住民税の「155万円・211万円の壁」は改正後も変わらず存在します。

公的年金等控除の早見表と具体例を通じて、年金のみ/年金+パート収入のケース別に税負担と手取りの目安が分かります。自分の年金額でどこまで働けるか、どの受け取り方を選ぶべきかを判断できるようになりましょう。

サクッとわかる!簡単要約

本記事を読むと、2026年時点の年金課税ルールを短時間で把握できます。所得税が源泉徴収される基準は、65歳未満で年金155万円超、65歳以上で205万円超です(令和8年分以後)。

さらに、公的年金等控除の段階別計算式や、211万円・155万円の壁が住民税・介護保険料まで連鎖する仕組みも解説します。国民年金・厚生年金にiDeCoや企業年金を上乗せした場合のシミュレーション、海外転出時の20.42%課税の回避策も確認可能です。

受給開始年齢や一時金・年金形式の選び方を調整し、生涯手取りを最大化する設計図を描けるようになります。

続けてガイドを読む関連する質問を探す

目次

公的年金と私的年金の種類|国民年金・厚生年金・個人年金の違い

公的年金制度:国民年金と厚生年金など特定条件で加入必須な年金

私的年金:iDeCo・個人年金保険など公的年金に上乗せする任意加入の年金

年金にはいくらから税金がかかる?実は雑所得な年金の課税

公的年金等控除の早見表【65歳未満/65歳以上】

65歳未満の公的年金等控除(年金控除額)の早見表

65歳以上の公的年金等控除(年金控除額)の早見表

【2026年最新】基礎控除の引き上げで所得税の非課税ラインが拡大

年金受給者の税金をシミュレーション

年金に対してかかる税金額と手取り額の早見表

65歳未満の税金額と手取り額

65歳以上の税金額と手取り額

公的年金と源泉徴収の関係

年金受給者の確定申告不要制度とは

一時金受け取りは「5年ルール」から「10年ルール」へ

自己負担が一気に増す?年金211万円・155万円の壁と住民税非課税ライン

年金211万円の壁とは?

年金155万円の壁とは?

住民税が非課税になる所得基準を理解する

所得割の非課税基準

均等割の非課税基準

公的年金の場合の所得計算

【地域差に注意】級地区分と住民税非課税ラインの目安(65歳以上・年金収入のみ)

「住民税の壁」を超えると負担急増!住民税・介護保険料・医療費への影響

住民税:均等割+所得割で年数千~数万円の増税

介護保険料:軽減段階が外れ年額数万円アップ

医療費自己負担など "連鎖コスト" にも注意

海外在住(日本非居住者)の年金課税と租税条約

公的年金と私的年金の種類|国民年金・厚生年金・個人年金の違い

年金には大きく分けて「公的年金」と「私的年金」の2種類があります。公的年金は国が運営する強制加入の制度で、私的年金は個人や企業が任意で上乗せする制度です。両者は受け取り時の課税ルールも異なるため、まずは全体像を整理しましょう。

年金は「3階建て」構造とされ、1階が国民年金、2階が厚生年金などの公的年金、3階がiDeCoや企業型DC、個人年金保険などの任意加入の私的年金で構成されます。

1階部分の国民年金(基礎年金)は、20歳以上60歳未満の方が必ず加入する公的年金です。2階部分の厚生年金は会社員や公務員が加入します。

厚生年金に加入しない自営業者や学生、専業主婦(夫)などは、私的年金である国民年金基金やiDeCo(個人型確定拠出年金)で備えられます。さらに、国民年金と厚生年金の上乗せとして私的年金に加入すれば、3階部分の年金を作ることも可能です。

公的年金制度:国民年金と厚生年金など特定条件で加入必須な年金

日本の公的年金制度は以下の2種類です。

公的年金制度

  1. 国民年金:20歳以上60歳未満のすべての方が加入する
  2. 厚生年金:会社員・公務員の方が加入する

専業主婦や学生、自営業者の方は国民年金のみに加入します。一方、会社員・公務員の方は国民年金と厚生年金の2つの年金制度に加入する仕組みです。

私的年金:iDeCo・個人年金保険など公的年金に上乗せする任意加入の年金

私的年金とは、公的年金の上乗せとなる年金です。公的年金は条件を満たせば強制的に加入しますが、私的年金は勤務先の制度や個人の判断次第となるため、全員が加入するとは限りません。

私的年金の種類加入できる人
確定給付企業年金(DB)確定給付企業年金制度を導入している企業に勤めている方のみ利用できる
企業型確定拠出年金(企業型DC)企業型確定拠出年金制度を導入している企業に勤めている方のみ利用できる
個人型確定拠出年金(iDeCo)国民年金制度加入者は利用できる(国民年金保険料の免除または猶予を受けている方、企業型確定拠出年金加入者でマッチング拠出を選択していないなど、例外あり)
国民年金基金第1号被保険者や国民年金の任意加入者が利用できる
個人年金保険生命保険会社によって加入できる年齢は異なる

例えば、確定給付企業年金(DB)や企業型確定拠出年金(企業型DC)に加入できるかどうかは勤務先次第です。制度の有無や加入対象者の範囲が企業ごとに異なります。

個人型確定拠出年金(iDeCo)や個人年金保険は、確定給付企業年金と企業型確定拠出年金よりも加入できる範囲が広い点が特徴です。加入する際の窓口となるのは、金融機関や保険会社です。

  1. なお、令和7年度税制改正により、iDeCoの拠出限度額の引き上げが決まりました。会社員・公務員(第2号被保険者)は企業年金と合算で月額6.2万円、自営業者など(第1号被保険者)は国民年金基金と合算で月額7.5万円となります(2027年1月施行予定)。

掛金は全額が所得控除の対象となるため、老後資金の準備と現役時代の節税を両立できる制度として注目されています。

年金の種類に関しては、こちらの記事でも詳しく解説しています。

年金にはいくらから税金がかかる?実は雑所得な年金の課税

年金には「公的年金等控除+基礎控除」を超えた部分から所得税がかかります。受け取る年金は「年金所得」という俗称で呼ばれることもありますが、所得税法上は「雑所得」に該当します。

雑所得とは、給与所得や事業所得など他のいずれの所得区分にも当てはまらない所得を指す区分です。

  1. 課税対象となる年金の計算式は「年金収入の総額−公的年金等控除」です。雑所得は総合課税(ほかの所得と合算して税率を決める方式)となるため、年金以外の所得も含めて所得税率を乗じれば所得税額を計算できます。

所得控除以上の年金を受給する場合、年金に対して課税されます。所得控除額や年金額は個人差があるため、いくらから課税されるかは一概にいえません。

公的年金だけでなく、私的年金も年金形式で受け取る場合は雑所得として取り扱われます。一時金で受け取る場合は、雑所得ではなく退職所得となる点に留意しましょう。

個人年金保険は、契約者と年金受取人の関係次第では贈与税がかかります。年金受取開始後に受取人が亡くなり、遺族が年金を受け取る場合は相続税の対象となるなど、課税関係が複雑です。

企業年金制度がある企業に勤めている方やiDeCo、個人年金保険に加入している方は、受け取り方で課税の方法が異なる点に注意しましょう。

最新の年金受給額のデータは、こちらの記事でも解説しています。

公的年金等控除の早見表【65歳未満/65歳以上】

年金に係る税額を計算するうえで重要なのが、公的年金等控除です。公的年金等控除とは年金収入から差し引ける控除の一つで、受給者の年齢や収入金額によって金額が変わります。

令和7年度税制改正で引き上げられたのは基礎控除であり、公的年金等控除の計算式自体は改正されていません。早見表は引き続き以下のとおりです。

65歳未満の公的年金等控除(年金控除額)の早見表

公的年金等の収入金額公的年金等控除額(年金以外の所得が年間1,000万円以下の場合)公的年金等控除額(年金以外の所得が年間1,000万円超2,000万円以下の場合)公的年金等控除額(年金以外の所得が年間2,000万円超の場合)
130万円以下60万円50万円40万円
130万円超〜410万円未満年金収入金額×0.25+27万5,000円年金収入金額×0.25+17万5,000円年金収入金額×0.25+7万5,000円
410万円以上〜770万円未満年金収入金額×0.15+68万5,000円年金収入金額×0.15+58万5,000円年金収入金額×0.15+48万5,000円
770万円以上〜1,000万円未満年金収入金額×0.05+145万5,000円年金収入金額×0.05+135万5,000円年金収入金額×0.05+125万5,000円
1,000万円以上195万5,000円185万5,000円175万5,000円

参考:国税庁「No.1600 公的年金等の課税関係」

65歳以上の公的年金等控除(年金控除額)の早見表

公的年金等の収入金額公的年金等控除額(年金以外の所得が年間1,000万円以下の場合)公的年金等控除額(年金以外の所得が年間1,000万円超2,000万円以下の場合)公的年金等控除額(年金以外の所得が年間2,000万円超の場合)
330万円以下110万円100万円90万円
330万円超〜410万円未満年金収入金額×0.25+27万5,000円年金収入金額×0.25+17万5,000円年金収入金額×0.25+7万5,000円
410万円以上〜770万円未満年金収入金額×0.15+68万5,000円年金収入金額×0.15+58万5,000円年金収入金額×0.15+48万5,000円
770万円以上〜1,000万円未満年金収入金額×0.05+145万5,000円年金収入金額×0.05+135万5,000円年金収入金額×0.05+125万5,000円
1,000万円以上195万5,000円185万5,000円175万5,000円

参考:国税庁「No.1600 公的年金等の課税関係」

【2026年最新】基礎控除の引き上げで所得税の非課税ラインが拡大

令和7年度税制改正により、所得税の基礎控除は合計所得金額に応じて次のように引き上げられました。

所得税の基礎控除

  1. 合計所得金額132万円以下:95万円(改正前48万円)
  2. 132万円超336万円以下:88万円
  3. 336万円超489万円以下:68万円
  4. 132万円超336万円以下:88万円
  5. 336万円超489万円以下:68万円
  6. 489万円超655万円以下:63万円
  7. 655万円超2,350万円以下:58万円

132万円以下に適用される95万円は恒久措置です。一方、88万円・68万円・63万円の上乗せ部分は令和7年分・令和8年分限定で、令和9年分以後は132万円超2,350万円以下が一律58万円となります。

65歳以上の年金受給者の場合、公的年金等控除110万円と基礎控除95万円の合計は205万円です。この金額が「年金205万円までは所得税がかからない」とされる根拠になっています(65歳未満は60万円+95万円=155万円)。

年金受給者の税金をシミュレーション

雑所得は総合課税の対象となる所得の一つで、ほかの所得と合算して所得税額が決まります。年金受給者の税金について、具体的なケースに当てはめて考えてみましょう(2026年・令和8年分の基準)。

条件

  1. 70歳
  2. 年金収入:350万円(うち、公的年金200万円・私的年金150万円)
  3. 不動産所得(家賃収入から諸経費を差し引いた額):300万円
  4. 社会保険料:50万円
  5. 公的年金等控除:350万円×0.25+27万5,000円=115万円
  6. 基礎控除:63万円(合計所得金額489万円超655万円以下のため)

以上の場合、まずは年金に係る所得と不動産所得を分けて計算します。

  • 年金(雑所得):350万円−115万円=235万円
  • 不動産所得:300万円
  • 所得の合計:235万円+300万円=535万円
  • 控除合計:社会保険料控除50万円+基礎控除63万円=113万円
  • 課税所得:535万円−113万円=422万円

課税所得は422万円となり、以下の速算表に当てはめると、所得税額は「422万円×20%−42万7,500円=41万6,500円」です。復興特別所得税(所得税額の2.1%)を含めると約42万5,200円になります。

住民税の基礎控除は43万円のままで、所得税とは金額が異なる点に注意しましょう。住民税の課税所得は「535万円−50万円−43万円=442万円」となり、所得割は「442万円×10%=約44万2,000円」です。

課税所得金額所得税率控除額
1,000円から1,949,000円5%0円
1,950,000円から3,299,000円まで10%97,500円
3,300,000円から6,949,000円まで20%427,500円
6,950,000円から8,999,000円まで23%636,000円
9,000,000円から17,999,000円まで33%1,536,000円
18,000,000円から39,999,000円まで40%2,796,000円
40,000,000円以上45%4,796,000円

このように、年金所得以外にも所得がある場合は、それぞれの所得を含めて税額を計算します。

今回は年金所得と不動産所得の例でシミュレーションしましたが、給与所得や事業所得を得ている方も流れは同じです。各所得を計算し、各種控除を差し引いたうえで速算表に当てはめましょう。

年金に対してかかる税金額と手取り額の早見表

公的年金には税金や社会保険料が発生します。老後の生活設計は、額面ではなく最終的な手取り額をベースに考えなければなりません。以下で、年金にかかる税金額と手取り額をまとめた早見表を紹介します(収入は公的年金等収入のみと仮定)。

以下のシミュレーションは、改正後(令和8年分以後)の基準に基づいて計算しています。

65歳未満の税金額と手取り額

65歳未満で収入が公的年金等収入のみの場合、最終的な手取り額は以下のとおりです。

年金額基礎的控除額(公的年金等控除、基礎控除相当)税額と社会保険料額(概算)手取り額
1,000,0001,550,00081,000919,000
1,100,0001,550,00090,0001,010,000
1,200,0001,550,000102,0001,098,000
1,300,0001,550,000115,0001,185,000
1,400,0001,575,000120,0001,280,000
1,500,0001,600,000133,0001,367,000
1,600,0001,625,000145,0001,455,000
1,700,0001,650,000160,5521,539,448
1,800,0001,675,000177,3811,622,619
1,900,0001,700,000193,2101,706,790
2,000,0001,725,000195,0391,804,961
2,100,0001,750,000208,8671,891,133
2,200,0001,705,000225,2691,974,731
2,300,0001,730,000239,0982,060,902
2,400,0001,755,000251,9272,148,073
2,500,0001,780,000265,7562,234,244

公的年金は雑所得で総合課税の対象となるため、所得が増えるほど税金や社会保険料も増えます。

65歳以上の税金額と手取り額

続いて、65歳以上で収入が公的年金等収入のみの場合における、最終的な手取り額を見てみましょう。

年金額基礎的控除額(公的年金等控除、基礎控除相当)税額と社会保険料額(概算)手取り額
1,000,0002,050,000133,000867,000
1,100,0002,050,000133,000967,000
1,200,0002,050,000133,0001,067,000
1,300,0002,050,000133,0001,167,000
1,400,0002,050,000133,0001,267,000
1,500,0002,050,000133,0001,367,000
1,600,0002,050,000140,0001,460,000
1,700,0002,050,000149,0001,551,000
1,800,0002,050,000158,0001,642,000
1,900,0002,050,000167,0001,733,000
2,000,0002,050,000176,0001,824,000
2,100,0002,050,000187,5521,912,448
2,200,0002,050,000201,6571,998,343
2,300,0002,050,000216,7622,083,238
2,400,0002,050,000230,8672,169,133
2,500,0001,980,000248,5462,251,454

なお、住んでいる自治体によって住民税や社会保険料は異なります。あくまでも参考としてご活用ください。

さらに、上記のシミュレーションでは配偶者控除や扶養控除などを考慮していません。最終的な税額や手取り額には個人差がある点にもご留意ください。

老後生活を考えるうえでは、必要な老後資金をイメージし、資産寿命を延ばすための対策が欠かせません。詳しくは、こちらの記事も参考にしてみてください。

公的年金と源泉徴収の関係

源泉徴収される税額は、年金額から各種控除額を差し引いた額に5.105%(復興特別所得税を含む税率)を乗じて計算されます。

公的年金から所得税が源泉徴収される基準は、以下のとおりです(障害年金と遺族年金は非課税)。

源泉徴収される年金額

  1. 65歳未満の方:年金額が155万円を超える
  2. 65歳以上の方:年金額が205万円を超える

令和7年度税制改正による基礎控除の引き上げに伴い、源泉徴収の対象とならない年金額は、従来の「65歳未満108万円・65歳以上158万円」から大幅に拡大しました。新基準は令和7年12月の年金支払時から反映され、令和8年分以後も適用されます。

公的年金や私的年金などを含めた年金収入が基準を超える場合、源泉徴収されたうえで年金が支給されます。ただし、在職していない状況で年金を受給している方には、配偶者控除や扶養控除を適用させるための年末調整が行われません。控除を反映したい場合は確定申告が必要です。

年金受給者の確定申告不要制度とは

年金受給者の申告手続の負担を減らすため、一定の条件を満たせば確定申告をしなくてよい「確定申告不要制度」が設けられています。公的年金等による収入が400万円以下で一定の要件を満たす場合には、所得税及び復興特別所得税の確定申告を行う必要がありません。

確定申告不要制度の対象となるのは、以下の要件をいずれも満たす方です。

  • 公的年金等の収入金額の合計額が400万円以下で、その全部が源泉徴収の対象となっている
  • 公的年金等に係る雑所得以外の所得金額が20万円以下である

「公的年金等」とは、国民年金や厚生年金、共済組合から支給される老齢年金、恩給、確定給付企業年金などを指します。なお、障害年金や遺族年金は非課税のため、そもそも申告の対象外です。

他にも、各種控除を受けられる方は翌年の確定申告を通じて税金の還付を受けられる可能性があるため、必要に応じて確定申告を行いましょう。確定申告は必ずしも行う必要はなく、還付を受けられないことを承知で省略しても問題ありません。

年金を受け取りながら働く方は、在職老齢年金制度にも注意が必要です。詳しくは、こちらの記事もご覧ください。

参考:政府広報オンライン「ご存じですか?年金受給者の確定申告不要制度」

一時金受け取りは「5年ルール」から「10年ルール」へ

iDeCoなどの一時金と会社の退職金を両方受け取る方は、2026年1月から適用が始まった「10年ルール」に注意してください。

従来は、iDeCoの一時金を先に受け取り、5年以上空けて退職金を受け取れば、それぞれで退職所得控除を満額利用できました。令和7年度税制改正でこの間隔が10年に延長され、節税効果を得るためのハードルが上がっています。

企業年金制度がある企業に勤めている方やiDeCo、個人年金保険に加入している方は、受け取り方で課税の方法が異なる点に注意しましょう。

確定拠出年金の一時金を受け取ってから5年以上経過した後に退職金を受け取る場合は、5年ルールを回避できるため、退職所得控除を満額利用できます。

なお、損をしない退職金の受け取り方や退職所得の計算方法は、以下の記事で詳しく解説しています。

自己負担が一気に増す?年金211万円・155万円の壁と住民税非課税ライン

年金生活において、住民税が非課税になるかどうかは、自己負担額に大きな影響を与えます。いわゆる「年金211万円の壁」や「年金155万円の壁」は、特定の条件下での目安です。

ここで重要なのは、令和7年度税制改正で引き上げられたのは所得税の基礎控除であり、住民税の基礎控除(43万円)や非課税限度額は据え置かれている点です。つまり「所得税は205万円まで非課税」となった現在も、住民税の211万円・155万円の壁は従来どおり存在します。正確な知識を身につけ、ご自身の状況を確認しましょう。

年金211万円の壁とは?

65歳以上の夫婦二人世帯(例:夫が年金収入のみで、妻が夫の扶養に入っている場合)で、主に都市部(1級地)にお住まいの場合の住民税非課税の年金収入目安です。

年金155万円の壁とは?

65歳以上の単身世帯で、主に都市部(1級地)にお住まいの場合の住民税非課税の年金収入目安です。

住民税が非課税になる所得基準を理解する

住民税には「所得割」(所得に応じて課税)と「均等割」(所得にかかわらず一定額課税)があります。両方が非課税となる所得基準は、お住まいの自治体や扶養親族の状況によって異なります。

一般的に、前年の合計所得金額が以下の基準を下回る場合に住民税が非課税となります。

所得割の非課税基準

多くの自治体で、前年の合計所得金額が「35万円 × (本人+扶養人数) + 42万円(32万円+基礎控除加算10万円など自治体により異なる場合あり)」以下の場合に非課税となります。

単身者の場合、合計所得金額が45万円以下であれば、多くの場合、所得割はかかりません。特に合計所得金額が43万円(住民税の基礎控除額)以下であれば、所得割は確実に非課税です。

均等割の非課税基準

均等割の非課税基準は自治体によって異なり、条例で定められています。例えば、単身者の場合、合計所得金額が45万円以下(東京23区など)で均等割も非課税となる自治体が多いですが、38万円や41.5万円、42万円など、これより低い基準の自治体もあります。扶養親族がいる場合は、非課税限度額が上がります。

公的年金の場合の所得計算

年金収入から公的年金等控除額を差し引いたものが「年金所得」となります。「年金所得=年金収入−公的年金等控除額」の年金所得が、上記の住民税非課税基準(合計所得金額)と比較されます。

例えば65歳以上の単身者なら、年金収入155万円−公的年金等控除110万円=合計所得金額45万円となり、非課税基準ちょうどに収まります。これが「155万円の壁」の正体です。

【地域差に注意】級地区分と住民税非課税ラインの目安(65歳以上・年金収入のみ)

住民税の非課税限度額は、お住まいの自治体が属する厚生労働省の「級地区分」(主に生活保護基準で用いられる地域区分で、物価等を反映)などによって、条例で定められる基準額が若干異なります。以下はあくまで目安です。

世帯区分1級地(都市部など)2級地3級地(地方部など)
二人以上世帯約211万円約203万円約193万円
単身世帯約155万円約152万円約148万円

例えば、65歳以上単身世帯で3級地にお住まいの場合、年金収入が約148万円を超えると住民税が課税され、それに伴い他の自己負担も増える可能性があります。必ずご自身の自治体のウェブサイト等で、正確な非課税限度額や級地区分(またはそれに準ずる地域区分)をご確認ください。

「住民税の壁」を超えると負担急増!住民税・介護保険料・医療費への影響

住民税非課税世帯でなくなると(合計所得金額が非課税限度額を1円でも超えると)、翌年度から様々な負担が増える可能性があります。税金だけでなく、社会保険料や医療費の自己負担まで連動して上がる点が、年金生活における「壁」の本質です。

住民税:均等割+所得割で年数千~数万円の増税

所得割の標準税率は一律10%(市町村民税6%+道府県民税4%)です。均等割も年5,000円程度(標準4,000円+森林環境税1,000円)が追加され、手取りが確実に目減りします。

介護保険料:軽減段階が外れ年額数万円アップ

65歳以上の介護保険料は、所得に応じた段階別(標準13段階)で決まります。住民税非課税世帯には公費による軽減が適用され、最も低い段階では基準額の7割程度が減額される仕組みです。

非課税枠を外れると本人非課税・世帯課税の段階(標準で第4・5段階)以上に上がり、年額で数万円の負担増になるケースが目立ちます。

医療費自己負担など "連鎖コスト" にも注意

非課税世帯向けの高額療養費・入院食事療養費の減額、後期高齢者医療保険料の軽減も同時に消失します。壁をまたいだ瞬間から、医療・介護の自己負担率まで連動して上がる点が落とし穴です。

海外在住(日本非居住者)の年金課税と租税条約

年金を受けている方が海外に転出する場合は「非居住者」となり、課税関係が「居住者」と異なります。居住者とは、国内に住所を有している方や現在まで引き続き1年以上居所を有する個人を指しており、居住者以外の個人が「非居住者」として取り扱われます。

非居住者が得た「国内源泉所得」は、源泉徴収の対象です。年金は国内源泉所得の対象で、以下の計算式で算出した金額が源泉徴収されます。

{年金支給額–(5万円※×年金額に係る月数)}×20.42%

※(65歳以上の場合は9万5,000円)

受給している年金が老齢年金で、居住する国が日本と「年金の受け取りに関する租税条約」を締結している場合、所定の手続きをすれば所得税の免除を受けられます。

日本が締結している租税条約(二重課税の除去等を主な内容とするもの)は、2026年6月現在で77本あり、81カ国・地域に適用されています。国によって必要な書類は異なりますが、該当する方は「租税条約に関する届出書」をはじめとした必要書類を日本年金機構に提出しましょう。

この記事のまとめ

この記事では、2026年最新の年金課税ルールを確認しました。押さえるべきポイントは「所得税は65歳未満155万円・65歳以上205万円まで非課税」「住民税は155万円・211万円の壁が別に存在する」という2段構えの構造です。

基礎控除の引き上げで所得税の負担は軽くなった一方、住民税非課税ラインは据え置かれており、介護保険料や医療費への連鎖は従来どおり残っています。

不安や迷いがある場合は、一人で抱え込まずに専門家や投資のコンシェルジュの無料相談も活用しながら、老後の手取りと暮らし方のバランスを一緒に設計していきましょう。

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柴田充輝

金融系ライター

厚生労働省や保険業界・不動産業界での勤務を通じて、社会保険や保険、不動産投資の実務を担当。FP1級と社会保険労務士資格を活かして、多くの家庭の家計見直しや資産運用に関するアドバイスを行っている。金融メディアを中心に、これまで1,000記事以上の執筆実績あり。

厚生労働省や保険業界・不動産業界での勤務を通じて、社会保険や保険、不動産投資の実務を担当。FP1級と社会保険労務士資格を活かして、多くの家庭の家計見直しや資産運用に関するアドバイスを行っている。金融メディアを中心に、これまで1,000記事以上の執筆実績あり。

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iDeCo(イデコ/個人型確定拠出年金)

iDeCo(イデコ)とは、個人型確定拠出年金の愛称で、老後の資金を作るための私的年金制度です。20歳以上65歳未満の人が加入でき、掛け金は65歳まで拠出可能。60歳まで原則引き出せません。 加入者は毎月の掛け金を決めて積み立て、選んだ金融商品で長期運用し、60歳以降に年金または一時金として受け取ります。加入には金融機関選択、口座開設、申込書類提出などの手続きが必要です。 投資信託や定期預金、生命保険などの金融商品で運用し、税制優遇を受けられます。積立時は掛金が全額所得控除の対象となり、運用時は運用益が非課税、受取時も一定額が非課税になるなどのメリットがあります。 一方で、証券口座と異なり各種手数料がかかること、途中引き出しが原則できない、というデメリットもあります。

標準報酬

標準報酬月額とは、社会保険において保険料や給付額の算定基準として用いられる、報酬水準を区分表に当てはめて決定される月額の基準値を指します。 この用語は、主に健康保険や厚生年金保険といった社会保険制度の中で、保険料負担や将来の給付水準を考える場面で登場します。会社員や公務員の報酬は月ごとに変動する可能性がありますが、そのままの実額を毎月の計算に使うと制度運用が複雑になります。そこで、一定期間の報酬をもとに区分化された等級に当てはめ、標準化された月額として扱う仕組みが採られています。この標準化された数値が、制度上の計算の起点になります。 実務や情報収集の場面では、「給与明細に書かれている金額」と「標準報酬月額」が同一だと誤解されがちです。しかし、標準報酬月額はあくまで制度上の区分値であり、実際に支払われた給与額そのものではありません。通勤手当や各種手当を含めた報酬の扱い方や、区分の境目によって、実額と標準報酬月額が一致しないことは珍しくありません。この違いを理解していないと、保険料の増減や将来の給付見込みを見誤る原因になります。 また、標準報酬月額は一度決まれば永久に固定されるものだと考えられることもありますが、これも典型的な誤解です。報酬水準に一定以上の変動があった場合や、制度上定められた見直しのタイミングでは、標準報酬月額が改定されることがあります。つまり、これは「個人の属性としての金額」ではなく、「制度が便宜的に設定する状態値」として捉える方が正確です。 投資や家計管理の観点では、標準報酬月額そのものを操作したり最適化したりする対象として考えるのではなく、社会保険制度の中でどのように使われ、どの判断に影響しているかを理解することが重要です。特に、保険料負担と給付の関係を考える際には、実収入ではなく標準報酬月額が基準になっている点を意識することで、制度に対する過度な期待や不安を避けることにつながります。

老齢基礎年金

老齢基礎年金とは、日本の公的年金制度の一つで、老後の最低限の生活を支えることを目的とした年金です。一定の加入期間を満たした人が、原則として65歳から受給できます。 受給資格を得るためには、国民年金の保険料納付済期間、免除期間、合算対象期間(カラ期間)を合計して10年以上の加入期間が必要です。年金額は、20歳から60歳までの40年間(480月)にわたる国民年金の加入期間に応じて決まり、満額受給には480月分の保険料納付が必要です。納付期間が不足すると、その分減額されます。 また、年金額は毎年の物価や賃金水準に応じて見直しされます。繰上げ受給(60~64歳)を選択すると減額され、繰下げ受給(66~75歳)を選択すると増額される仕組みになっています。 老齢基礎年金は、自営業者、フリーランス、会社員、公務員を問わず、日本国内に住むすべての人が加入する仕組みとなっており、老後の基本的な生活を支える重要な制度の一つです。

確定給付年金

確定給付年金(Defined Benefit)とは、受給者の給与や勤務年数などによってあらかじめもらえる金額が決まっている年金のこと。給付額が制度資産の利回りに依拠しないという特徴がある。確定給付企業年金を指す言葉として用いられることもある。受給者に対するメリットとしては、確定給付年金(DB)は確定拠出年金(DC)と比べて資産管理に気を使わなくてよく、老後の安定的な収入源になるが、償却負担が重い場合には給料に悪影響を及ぼす可能性があり、受給権がわかりにくいというデメリットがある。

個人年金保険

個人年金保険とは、公的年金だけでは不足しがちな老後資金を、自助努力で補うために設計された私的年金商品です。契約者が決められた期間にわたり保険料を払い込み、あらかじめ設定した開始年齢(60歳・65歳など)に達すると年金形式で受け取りが始まります。受取方法には、決められた年数だけ確実に受け取る「確定年金型」と、生存している限り終身で受け取れる「終身年金型」があり、どちらを選ぶかによって総受取額や万一の際の遺族保障の形が異なります。変額型や外貨建て型など、インフレ対応や為替分散を意識したバリエーションも登場しています。 大きな魅力の一つは税制優遇です。一定の要件(受取人が契約者本人または配偶者、払込期間が10年以上など)を満たす契約であれば、払込保険料は「個人年金保険料控除」として所得控除の対象になります。たとえば年間保険料が8万円の場合、所得税で最大4万円、住民税で最大2万8千円が控除され、課税所得を圧縮できるため実質負担を抑えながら老後資金を積み立てられる点がメリットです。 一方で注意すべき点もあります。途中解約時には元本割れが生じやすく、解約返戻金が払込総額を下回るケースが多いこと、固定利率型の商品ではインフレに追いつけない可能性があること、そして保険会社が破綻した場合でも保険契約者保護機構による補償は責任準備金の90%が上限となることです。また、税優遇制度としては個人型確定拠出年金(iDeCo)や新NISAも利用できるため、流動性・運用商品の自由度・掛金上限などを比較し、自分に合った組み合わせを検討する必要があります。 これらの特徴を踏まえると、個人年金保険は「計画的に積立を続け、税制メリットを生かしながら老後の生活費を補完したい」人に適した選択肢といえます。生活防衛資金や他の運用枠を確保したうえで長期的な資産形成の一環として活用すれば、老後のキャッシュフローに安定感をもたらす手段となるでしょう。

確定給付企業年金 (DB)

確定給付型企業年金(DB)とは、企業が従業員の退職後に受け取る年金額を保証する企業年金制度です。あらかじめ決められた給付額が支払われるため、従業員にとっては将来の見通しが立てやすいのが特徴です。DBには規約型と基金型の2種類があります。規約型は、企業が生命保険会社や信託銀行などの受託機関と契約し、受託機関が年金資産の管理や給付を行う仕組みです。基金型は、企業が企業年金基金を設立し、その基金が資産を運用し、従業員に年金を給付する仕組みです。確定拠出年金(DC)との大きな違いは、DBでは企業が運用リスクを負担する点であり、運用成績にかかわらず従業員は決まった額の年金を受け取ることができます。一方、DCでは従業員自身が運用を行い、将来受け取る年金額は運用成績によって変動します。DBのメリットとして、従業員は退職後の給付額が確定しているため安心感があることが挙げられます。また、企業にとっては従業員の定着率向上につながる点も利点となります。しかし、企業側には年金資産の運用成績が悪化した場合に追加の負担が発生するリスクがあるため、財務的な影響を考慮する必要があります。

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